ハライチの岩井さん
「僕の人生には事件が起きない。が、それと同じように皆さんの人生にもそんなに事件は起きていない。そして、テレビで見る芸能人の人生にもどうせ本当は事件など起きていないだろうと。それを皆、化学調味料で元の味などわからなくなるくらい嘘のように濃い味付けにして提供してくるのだ。そんなものばかり食べていると、そのうち舌が馬鹿になる。物の味なんてわからなくなってしまう。-----by岩井勇気」
僕の趣味の1つが読書。
今まで何百冊と読んできましたが、食わず嫌いで避けている分野があります。
それが「芸能人のエッセイ」。
いや、本当になんとなくなんですけどね。
ただ、今回ついに手に取ってしまいました。
それが
「僕の人生には事件がおきない(著:岩井勇気)」
お笑い芸人コンビ、ハライチの岩井さん(ネタ書いてる方)の初エッセイです。
ハライチといえば、岩井さんが「小さめのノッポ」や「カチカチの老婆」、「首筋にユッケ」等の奇抜なフレーズに澤部さんがツッコまずそのままついていくノリボケ漫才が有名ですが、最近はスタンダードな漫才が増えています。
個人的にはスタンダードな漫才の方が好きです。(RPGや旅館、玄米、お化け屋敷がおすすめ)。狂気かつ斬新で面白い発想するなぁといつも思います。
定期的に聴いているラジオ「ハライチのターン」でも岩井さんの奇才ぶりが発揮されています。
そんな岩井さんが平凡な日常に対してどのような視点で切り込むのか気になったので今回購読してみました。
内容としては表題の通り大きな事件はありません。サザエさんの物語レベルの小さな出来事があるだけですが、そこに岩井さんの甘みや苦みが加わり、気づいたらのめりこんで読んでいる内容になります。特に後半が面白い。煮詰まっている時に読むといい気分転換になります。
これらの24のストーリーの最後に「澤部と僕と」という章があります。これがなかなか興味深いです。
澤部さんについての分析をしているのですが、「あぁ~」「たしかに」と何度も思わずつぶやいてしまう内容でした。以前ラジオで澤部さんが「自分の子どもが生まれたことがネットニュースでさえもとりあげてくれない」と言っていましたがその理由もそういうことなんだなぁと納得してしまいました。
澤部さんというブラックホールのような”無”に出会ったこと。
これが岩井さんにとっての最大の事件かもしれません。